ザール芸術大学卒業制作展 2019

「人工知能」、バーチャルヒューマノイド、そしてそれに伴う誤解をテーマにした3点の作品を、机を舞台にした空間演出で表現しました。

鑑賞者は机に座り、作業成果をまとめたパンフレット(テキストへのリンク付き)を読み進める中で、自身の顔が自動的に撮影され、周囲のキャンバスに投影される様子を体験しました。その結果、まるで自分の顔がエコーチェンバーのように周囲に残る映像が生み出され、「忘却」が許されない仕組みとなりました。つまり、シーンを離れる際には、自分の顔がその場に残り、新たな顔によって上書きされるまでそこに留まるのです。

この仕掛けに対する反応はさまざまで、「監視」やプライバシーの侵害と捉えて憤りを感じる方もいれば、自撮りができるという喜びや、読書体験が向上すると感じる方もいらっしゃいました。

また、人工知能の「能力」を過剰に解釈することへのパロディとして、人工アーティスト「Gerkzeuk」も登場しました。さらに、ブラックボックス内に組み込まれた2つのサーボモーターによって、不規則なタイミングで動くマリオネット(操り人形)が展示され、そのブラックボックスには「The Matrix」の引用や『ターミネーター』、Elon Muskの顔、Hal 9000など、AIブームを象徴するステッカーが貼られています。

鑑賞者の中には、人形の動きを真似して学びを感じる方もいれば、逆に不気味さを感じる方もおられました。

 

 

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